Research Abstract |
本研究は,美術館が提供できる,学びの素材や,情報,場や機会,関係性(コミュニケーション)とは何かを改めて検討し,美術館活動を素材とした汎用的な教材を考案することを目的とした. 昨年の学習指導要領の改訂によって,学校は美術館と連携をとり,日本の文化について理解を深めていくことが推進されているが,教育・文化施設としての美術館について,学べる基本的な教材がないという現状がある.その現状に対し,本研究では,小・中・高校の学校の現場で利用できる教材の開発を目指し,現場の先生方との討論を重ね,現場のニーズを調査し,その意見を反映させた教材を制作した. 具体的には美術館を利用する事前学習に活用できる教材として美術館活動の概要がつかめる視聴覚教材(DVD教材)の制作,美術館の機能と所蔵品について学べる教材「Museum Box宝箱」(神奈川県立近代美術館制作)を実際の学校で使用する際に参考となる指導案の開発である.視聴覚教材は,映像で美術館の調査,研究,展覧会開催,普及活動事業など全般の活動が具体的に説明され,社会の中での美術館の機能が子どもたちにわかるよう構成された内容で,DVDの形にして実際に教育機関に貸し出しをし,活用を始めている.「Museum Box宝箱」を活用するための指導案は,具体的な実施時間,対象学年などを明確にして,先生が気軽に実践してみることができるように,「Museum Box宝箱」とともに貸し出しを行う.この指導案はウェブ上に掲載し,いつでも参照できるようにした.美術館と学校の連携を進めていくにも,学校の現場の先生が参照できる教材は数少なく,本研究を通して,現場の教師の意見を反映した教材ができることは意義のあることと考える.
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