2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経心理学的検査による軽度発達障害の新分類とその活用による教育的支援の考案
Project/Area Number |
19730564
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
加戸 陽子 Kansai University, 文学部, 専任講師 (10434820)
|
Keywords | 神経心理学 / 発達障害 / 特別支援教育 / 医療機関連携 / 小児神経学 / Wisconsin card sorting test |
Research Abstract |
本研究は神経心理学的検査による注意欠陥/多動性障害(AD/HD)および広汎性発達障害(PDD)などの各種発達障害をともなう子どもの認知特性把握および支援の検討を目的とするものである。本年度も引き続き服薬状況を統制した被検者を対象として知能検査および神経心理学的検査を実施し、診断分類等の資料にもとづき検査成績の分析を行った。まず、知能検査(WISC-III)については全検査IQ80以上の5〜15歳のAD/HD30名、6〜4歳のPDD44名を対象に、4群指数および13種の下位検査評価点を用い、これらのプロフィールによる認知特性および発達的側面に関する詳細な比較検討を行った。その結果、AD/HDの注意機能の問題は年少時に著しく、PDDの言語性の問題は年長群で著しいことが示された。年齢による成績の違いから、発達的側面を反映しているものと推測されたが、対象児数が十分とはいえない年齢群もあることから、更なる検討が必要と考えられた。次に、神経心理学的検査について、Keio版Wisconsin card sorting testは5〜15歳のPDD67名、AD/HD)39名までのデータの集積を行っており、次年度研究報告を予定している。Stroop testでは5〜12歳のPDD15名、AD/HD18名を対象に発達障害のストループ干渉効果に関する検討を行い、両発達障害群の年少群(9歳以下)で干渉効果が大きいことが示唆され、今後の検討課題とされた。また、近年の各種発達障害の病態解明に関する動向について、国内外の文献の概観から注目すべき知見について概説し、教育・社会的支援の示唆を得た。さらに、知能検査および神経心理学的評価を行った発達障害をともなう2事例について、検査成績の個別検討に関する報告を行い、各種心理学的検査バッテリーによる実態把握の臨床的意義についての報告も行った。
|
Research Products
(5 results)