2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市原 由美子 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80372689)
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Keywords | non-vanishing |
Research Abstract |
今年度は1/2における保型L関数の零点の位数に関する考察や、一般の条件のもとでnew formに付随するL関数のRe(s)=1/2上の点におけるnon-vanishingの研究に取り組んだ。前者はカナダでRam Murty氏と議論することでWeilの明示公式を利用した研究の足がかりを作ることができた。この研究に関しては保型形式のレベルが素数の場合は既に幾つかの結果があるが、素数でない場合はまだ多くの場合が分かっていない。Murty氏との議論はレベルについて素数という条件を付ける必要のないものであり、今後の研究に大きな期待が出来る。後者は既に得られているnon-vanishingの結果が素数冪のレベルで重さが12までの偶数と14であるときという制限が付いているので、これを一般化するために重さの条件をはずすことを考えた。この場合問題はレベル1の空からくるold formである。old formの空間の直交基底を構築する為にold formとその元のprimitive formの内積の関係を明確にする必要がある。今年度はレベルが1のcusp formの空間からくるold formについてその関係を明確にすることができた。この関係式を用いて、レベルが素数冪で重さの条件をはずした場合のold fromの空間の直交基底を構築することに取り組んでいるところである。この取り組みはレベルを一般の自然数とした場合にもそのまま利用できるので、今後のnon-vanishingの研究の拡張に対して非常に重要な取り組みとなる。またこれは保型形式の空間のレベルを動かした時の考察だが、この結果の発表を通してL関数の指標のモジュラスを動かした場合のnon-vanishingの議論ができるのではないかという指摘を頂くことができた。こういう視点はセルマー群の情報を得ることに関連する。そういう意味でもこのような研究の重要性、効果が期待できる範囲の広さがうかがえる。
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Research Products
(1 results)