2010 Fiscal Year Annual Research Report
虚二次体上のアーベル拡大体における岩澤理論と楕円単数
Project/Area Number |
19740020
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
青木 美穂 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (10381451)
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Keywords | Brumer予想 / Coates-Sinnott予想 / イデアル類群 / 部分ゼータ関数 / 代数的K群 / Stickelberger元 |
Research Abstract |
論文「A note on the Coates-Sinnott conjecture, Bunetin of the London Mathematical Society 41, 613-620, 2009」において得られた結果の中で仮定した技術的仮定のうち,1つを外すことについて考察した.この論文では,代数体のイデアル類群に関する予想(Brumer予想)と整数環のK群に関する予想(Coates-Sinnott予想)の関係について考察した.Fを総実代数体,LをF上の有限次アーベル拡大体とする.Brumer予想とは,Fの部分ゼータ関数のs=0の値から作られるStickelberger元と呼ばれる元がLのイデアル類群のannihilatorになっていると主張するものである.一方,イデアル類群が0次のK群のtorsion部分と同型になることから,高次K群の類似としてCoates-Sinnott予想が定式化されている.これらの予想は通常岩澤主予想を用いて証明される.本論文では,いくつかの技術的な仮定のもと,Brumer予想から岩澤主予想を経由せずにCoates-Sinnott予想を導く方法について考察したが,この技術的な仮定のうち,局所体と大域体における1のべき根に関する仮定が外れることを確かめた.この仮定は,あるコホモロジー群のlocalizationmapのcokernelが0になるために用いられているが,cokernelを詳しく調べること,部分ゼータ関数の性質を用いること,及び岩澤理論の手法を用いることにより,この仮定が外せることが分かった.
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