2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形拡散方程式における進行波と界面ダイナミクスの研究
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19740092
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
柳下 浩紀 京都産業大学, 理学部, 准教授 (80349828)
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Keywords | 応用解析学 / 非線形現象 / 非線形解析学 / 拡散方程式 / 放物型微分方程式 / 力学系 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、非線形拡散方程式における進行波と界面のダイナミクスを数学的に理解することである。界面とは、二つの違った状態を隔てる空間的な局在構造であり、散逸系における空間パターンの力学的な振る舞いを理解するために従来より研究が重ねられてきた。進行波は一定の形状を保ちながら一定速度で動いていく特殊解である。この特殊解は界面の基になるもので、実際に界面は局所的にはこの解で近似できることが多い。本年度は次のような研究を行った。非線形拡散方程式において、初期時刻での遠方における状態がパターンの長時間挙動を特徴付ける例が近年になって報告されている。例えば、界面が遠方に行くにしたがってゆっくりと振動をしているような初期状態では、その空間的な振動が長時間挙動としては原点付近の界面のゆっくりとした時間的な振動を引き起こす。このような現象の初期時刻における空間パターンとパターンの長時間挙動の関連性を詳細に研究するための前段階として、線形の拡散方程式について、遠方においてゆっくりと変動している初期データについて、遠方における変動パターンと解の長時間挙動との関連を時空間スケーリングの観点から研究を行った。その結果、初期時刻における遠方での空間変動が、遠方にいくにしたがって十分にゆっくりと変動する場合には、極めて簡明な関連性を見出すことができた。その他、本年度はFitzHugh-南雲方程式の進行波の対消滅や、周期媒質下での双安定反応拡散方程式の周期進行波解の存在問題などについて研究を進めた。
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