2007 Fiscal Year Annual Research Report
分裂彗星核の非均質性から探る原始太陽系円盤中の微惑星移動
Project/Area Number |
19740107
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
河北 秀世 Kyoto Sangyo University, 理学部, 准教授 (70356129)
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Keywords | 彗星 / 太陽系 / 惑星形成 |
Research Abstract |
我々の太陽系は約46億年前に、分子雲と呼ばれる希薄なガスと固体微粒子から成る天体中で、一部のガスと固体微粒子が重力的に収縮することで誕生した。その際、原始太陽形成雲と呼ばれる、原始太陽と円盤状のガス(+固体微粒子)からなる天体の段階を経ている。この円盤中で、「微惑星」と呼ばれる、数キロメートルサイズの天体が多数、形成され、これらの衝突合体によって現在の惑星が誕生したというのが、太陽系形成に関する標準シナリオである。この微惑星集積物の一部は、現在でも太陽系の外縁部に残存じており、更にその一部は、彗星として太陽に近づく軌道上を運動している。本研究では、この彗星の内部構造について議論している。研究代表者は、NASAが行ったDeep Impact計画の実施にあたって得られたデータの解析およびシュバスマン・バハマン第3彗星の観測結果について解析を行った。特に後者は、一つの彗星が多数の分裂片に分裂したことを利用し、個々の分裂片の可視および近赤外波長域における分光観測結果から、彗星核内部の非均質性について調べた。観測によって、彗星核中の氷に含まれる多数の分子が検出された。その結果、いずれの波長域で観測された分子についても、異なる分裂片において同じ分子組成比が得られた。また、その組成比は他の一般的な彗星に比べても特異なものであり、その起源については現在のところ未解明である。一方、ガス(氷成分)だけでなく、固体微粒子の特徴についても議論した。得られた結論は「彗星核の内部は均質である」ということであり、この事は、ほぼ同様の環境で形成された微惑星同士が合体して彗星核を形成したことを意味しており、微惑星の太陽系内での移動など、微惑星集積過程に対する制約を与えると期待される。
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Research Products
(7 results)