2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 洋介 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (80323492)
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Keywords | 超対称性 / チャーン・サイモン理論 / M理論 / ブレーン |
Research Abstract |
本研究の目的はさまざまなゲージ理論の性質をブレーンを用いて調べることにあるが、本年度は特にM2-ブレーン上の理論として実現されると考えられる3次元チャーン・サイモン理論についての研究を行った。M2-ブレーンは、超弦理論の強結合極限を記述すると考えられているM理論に存在するブレーンの一種であり、つい最近までその上でどのような理論が実現されるかということは知られていなかった。平成19年の末に、Bagger、Lambert、Gusstavsonらによって提案されたBLGモデルはこの問題について大きな進展をもたらした。彼らはN=8超対称性を仮定すると、M2ブレーン上に実現される理論は3代数と呼ばれる数学的構造に基づくある種のチャーン・サイモン理論でなければならないことを示した。しかし、3代数の数学的構造は理論に強い制限を課すために、計量が正定値で有限次元の3代数を用いた場合には一般のゲージ群の理論を構成することができないことがまもなく明らかになった。本研究において私はローレンツ的な計量を持つ3-代数を用いれば任意のゲージ群を持つゲージ理論を実現できることを示した。また、無限次元の3-代数を用いることでM5-ブレーンを記述するゲージ理論を得ることができることも示した。これらの研究結果はこれまでに知られていなかったM2-ブレーン上のゲージ理論を与え、ブレーンを用いたゲージ理論研究に新たな道を開くものである。さらに、超対称性の個数がN=4やN=2などの小さい場合について、M2-ブレーン上のゲージ理論とM2-ブレーンの背景時空の構造の関係を明らかにした。この結果はM2-ブレーンを用いて解析することのできるチャーン・サイモン理論の種類を大きく広げる重要なものである。
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