2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板垣 直之 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特任准教授 (70322659)
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Keywords | 中性子過剰核 / 非中心力 / テンソル相関 / クラスター模型 |
Research Abstract |
本研究の目的は、軽い中性子過剰核のさまざまな構造、すなわちクラスター構造やシェル構造、およびそれらの競合を、核種及びそれぞれの核の励起エネルギーの関数として系統的に研究し、軽い原子核における非中心力(スピン・軌道力、テンソル力)の役割を明らかにすることである。この目的のため、シェル構造・クラスター構造の両方を取り入れた新しい模型を構築し、今年度はBe同位体、C同位体、Ne同位体、Mg同位体などの核構造研究を行った。C同位体では、中性子数の増加と共にスピン・軌道力の重要性が高まり、これによって原子核の基底状態ではαクラスター構造が消滅していくメカニズムを明らかにした。結果として、クラスター構造は中性子過剰C同位体の励起状態として存在する。また、10Beや12Beと言った原子核における過剰中性子の運動に着目し、これらの核が励起エネルギーの増加と共にさまざまに変化したクラスター構造を示すことを明らかにした。低い励起状態では、過剰な中性子は2つのαクラスターの周りを共有結合的に運動する。しかし、励起エネルギーの増加と共に、中性子は片方どちらかの周りのみに束縛されるようになる。これは近年ダイニュートロン相関と呼ばれる、弱結合系に特有な現象と関連している。このような中性子過剰核におけるダイニュートロン相関を8Heにおいても研究し、論文を投稿した。また、10Be核においては、励起状態において2つのαクラスターの周りを2つの中性子が運動するという状態と、1つのαクラスターの周りを2つのトライトンクラスターが運動するという、全く異なる量子状態がエネルギー的に非常に縮退して現れることを明らかにし、論文を投稿した。また、軽い4N核の励起状態としてα凝縮状態の存在が指摘されている。微視的なα凝縮模型を20Ne、24Mg、28Siといった原子核にまで拡張し、通常のクラスター模型的状態と結合させ、これからα凝縮状態が安定に存在することを確かめ論文にまとめた。
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Research Products
(11 results)