2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740124
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板垣 直之 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特任准教授 (70322659)
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Keywords | 中性子過剰核 / 非中心力 / クラスター構造 / 中性子-中性子相関 |
Research Abstract |
本研究の目的は、軽い中性子過剰核のさまざまな構造、すなわちクラスター構造やシェル構造、およびそれらの競合を、核種及びそれぞれの核の励起エネルギーの関数として系統的に研究し、軽い原子核における非中心力(スピン・軌道力、テンソルカ)の役割を明らかにすることである。この目的のため、シェル構造・クラスター構造の両方を取り入れた模型を構築し、今年度はBe、C、O、Ne同位体などの核構造研究を行った。まずは^<10>Beや^<12>Beと言った原子核における過剰中性子の運動に着目し、これらの核が励起エネルギーの増加と共にさまざまに変化したクラスター構造を示すことを議論した(α+αと2中性子の分子軌道→その原子軌道→α+t+t構造)。また、中性子過剰核のような弱結合系の特徴である強い2中性子相関についても議論を行った。^8Heは通常のシェル模型的な描像で良く記述されうると考えられてきたが、^4He(αクラスター)のまわりに2つのダイニュートロンが運動するとした模型関数とも大きな重なりを持つ。この事を示すために、通常のシェル模型的な波動関数と、α凝縮模型で用いられるクラスター的波動関数の結合を計算可能にする枠組みを構築し、結果を論文にまとめた。また、中性子過剰核における幾何学的クラスターの安定化についても議論を行い、軽い中性子過剰核の比較的低い励起状態として、原子核の中心に過剰な中性子が存在し、これが糊となってその周りのαクラスターを引きよせて安定化するようなクラスター構造が一般的に存在する可能性について分析し、論文にまとめた。
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