2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740124
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板垣 直之 東京大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (70322659)
|
Keywords | 中性子過剰核 / ガス的クラスター状態 / クラスター・シェル競合 / 時間に依存したハートリー・フォック理論 / 荷電平衡反応 / 超重核合成 / 群論的核構造模型 / EO遷移強度 |
Research Abstract |
1) クラスター・シェル競合の研究 原子核中では、陽子や中性子が独立に一体ポテンシャル中を運動しているが(シェル模型)、^4He原子核(α粒子)は特別に結合の強い原子核であり、軽い核ではαクラスター相関は重要な役割を果たす。我々はシェル模型とクラスター模型の競合を分析し、原子核系では非常に強いことが知られるスピン・軌道力と呼ばれる非中心力が、αクラスター相関を壊し核子の独立運動を促進する役割を果たすことを議論した。 2) ガス的クラスター状態の研究 ^<12>C原子核のsecond 0^+と呼ばれる励起状態など、αクラスターのガス的な緩い結合状態が知られている。この研究は現在第2段階を迎えている。すなわち、より重い原子核においてコアとなる原子核のまわりにαクラスターのガス的状態が存在するのではないかという可能性である。ここでは、^<40>Ca原子核の周りでの3αクラスターのガス的な状態を研究し、このようなαクラスターのガス的状態が一部の軽い核のみならず、幅広い質量数領域において一般的に存在する可能性を示した。 3) 群論を用いたEO遷移とクラスター構造の研究 このようなガス的クラスター状態を実験的に同定する方法としてisoscalar EO遷移の測定が有力ではないかと最近指摘されている。我々は3α系に対してsymplectic群を用い、この群の量子数λでEO遷移で強く結びつく状態を分類できる可能性を示した。 4) TDHFを用いたさまざまな反応 3次元のTime dependent Hartree-Fock法(TDHF)を用いることで、軽い中性子過剰核の構造と反応を研究し、のみならず、さらに中性子星表面におけるαクラスターのパスタ的構造やその振動モードの研究を開始した。また、原子核反応における荷電平衡過程や、質量数の大きな未知の中性子過剰原子核の生成方法などについてもTDHFを用いて研究した。
|