2007 Fiscal Year Annual Research Report
GeVガンマ線観測による超新星残骸における宇宙線加速機構の研究
Project/Area Number |
19740143
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片桐 秀明 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 助教 (50402764)
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Keywords | GeVガンマ線 / 超新星残骸 / GLAST (FERMI) / 宇宙線 |
Research Abstract |
(研究の目的) 地球に降り注ぐ超高エネルギーの陽子(宇宙線)がどこでどのように加速されているかは、宇宙線が発見されて以来100年たった今でも解決していない大問題である。本研究は、宇宙線起源の有力候補である超新星残骸(SNR)のうち、TeV (10^<12>eV)のガンマ線が検出されており粒子を加速している兆候を示すものに対して、次世代ガンマ線衛星GLAST (FERMIと改名された)を用いてGeV(10^9eV)付近のエネルギースペクトルをこれまでの数10倍の感度で求める。これにより、加速されている粒子が陽子かどうかを判別し、SNRがどの程度宇宙線加速に寄与しているのかを明らかにする。 (19年度の研究の成果) FERMI衛星でこれまでの数10倍の感度を実現するには、荷電粒子に起因するバックグラウンドをいかに精度よく見積もるかが鍵となる。この見積もり方法を研究するには、フルシミュレーションデータの解析が必要である。研究代表者は、実験の主要推進機関であるStanford Linear Accelerator Center (SLAC)に滞在し、シミュレーション方法およびそのデータの解析手法を習得した。さらに、2007年10月および2008年3月にSLACで行われた衛星の観測運用のシミュレーションへの参加、3度のLAT検出器ミーティングへの参加など情報収集の面でも活動した。 一方、GeV領域の実データの解析については、環境試験の遅れ等から衛星打ち上げが延期したため年度内には不可能になった。その代わり、X線衛星「すざく」のサイエンスワーキンググループに参加し、本研究の対象となり得る広がったTbV天体SNR J1713.7-3946およびHESS1614-518のX線スペクトルを取得する等、GeV以外の領域での準備を進めた。また、FERMIシミュレーションデータを用いてSNRのような広がった天体の解析手法も開発している。
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