2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線による準静的温度変化下におけるチタン酸バリウムの動的構造観察
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19740186
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
米田 安宏 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (30343924)
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Keywords | 強誘電体 / 放射光X線 / X線トポグラフィ / 相転移 / ドメイン / チタン酸バリウム |
Research Abstract |
平成19年度においては、交付された助成金をもとに電気炉の製作を行った。ドメイン構造はわずかな温度変動によって揺動してしまい観察することができなくなる。そこでできるだけ精密に温度をコントロールすることが可能な電気炉を製作した。平成20年度はチタン酸バリウムめ実験に開発した電気炉を用いての手法開発を行った。実験手法はトポグラフィを使ったドメイン観察であるが、この実験手法の開発過程で得た知見を圧電物質にも適用し、論文発表することができた。そして、最終年度である平成21年度ではチタン酸バリウムを用いて相転移近傍でのドメイン観察をX線トポグラフィを用いて行った。チタン酸バリウムの強誘電的ドメインにおいては格子歪みがドメイン境界に局在しており、ドメインを安定化させていることがわかった。この現象を数式化する試みを現在も行っており、強誘電体単結晶のドメインを格子歪みによって制御することを目指している。チタン酸バリウムの相転移近傍での観察結果の知見を生かして、マルチフェロイック物質や非鉛系ペロブスカイト化合物にも取り組んでおり、局所構造に特徴的な構造が現れることから、格子歪みを積極的に利用したドメイン制御が可能であると考えている。今後は単結晶のみならず、薄膜やセラミックスなどへ準静的温度変化下での測定手法を拡張していくことが課題である。
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