2007 Fiscal Year Annual Research Report
電気二重層ゲートFETによる有機物質への1個/分子キャリアドーピング
Project/Area Number |
19740192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下谷 秀和 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (60418613)
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Keywords | 電気二重層トランジスタ / EDLT / 電界効果トランジスタ / FET / キャリアドーピング / 電気化学 / 有機トランジスタ / 電気二重層 |
Research Abstract |
本研究は、電解質と半導体の界面に形成される電気二重層をゲートキャパシタとして用いた電界効果トランジスタ(電気二重層トランジスタ)により、半導体表面にキャリアを高濃度に蓄積し、新奇電気物性の発現を目指している。本年度は、電解質に過塩素酸カリウムポリエチレンオキシド溶液、半導体に酸化亜鉛単結晶薄膜を用いたホール効果測定により、電気二重層トランジスタが7.4μF/cmという巨大なゲート静電容量を持ち、最大で4.2×10^<13>cm^<-2>ものキャリアの蓄積できることがわかった。このキャリア濃度は有機電界効果トランジスタでよく用いられるSiO_2絶縁層で蓄積される最大の濃度の倍以上になり、キャリアの高濃度蓄積に対するこの手法の有用性が示された。さらに、この高濃度のキャリア蓄積により、もともと半導体の酸化亜鉛が温度の低下とともに抵抗が減少する金属的な振舞いを見せるようになった。これは、電界効果を用いた酸化亜鉛の初めての絶縁体-金属転移であり、電気二重層トランジスタがキャリア蓄積による電子相転移の研究に有効であることを示した。また、有機分子(ルブレン)の単結晶を半導体として用いた電気二重層トランジスタを作成し、自身のものを含め、これまでに報告された電気二重層トランジスタよりもはるかに高いパフォーマンス(トランスコンダクタンス)を得ることに成功した。これは、電解質の改良によるものであり、電解質の選択が有機電気二重層トランジスタの性能に重大な影響を及ぼすことを明らかにした。また、同時にルブレン単結晶の抵抗の4端子測定を行うことにより、トランジスタのOFF状態では電圧端子は電解質の影響のため半導体の電位を測定できないこと、高ゲート電圧印加時にはソース・ドレイン電極とルブレン単結晶との間の接触抵抗が増加することを示した。
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