2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属二酸化物の電気化学的強酸ヒ合成とその電子構造の解明
Project/Area Number |
19740201
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本橋 輝樹 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 助教 (00323840)
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Keywords | 遷移金属二酸化物 / 層状コバルト酸化物 / 電気化学手法 / Li_xCoO_2系 / CoO_2 / Liデインターカレーション / 磁性 / 電荷整列 |
Research Abstract |
本研究では、電子相関効果やスピンフラストレーション効果が期待される層状遷移金属二酸化物AxMO_2(A=Li,Na;M=Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu)について、各M元素に対する電子状態図を解明し、本系における電磁気物性の統括的な理解を図ることを目的とする。本年度は三角格子LixC_0O_2系(A=Li,M=C_0)について、Li量(x)を幅広く制御した試料合成手法の確立と,得られた試料に対する磁気特性計測を行った。以下に主な研究成果を示す。 LiC_0O_2バルク体試料を前駆体とし、電気化学的Liデインターカレーション反応によるLixC_0O_2の高品質試料合成法を確立した。更に、X=0の極限物質に相当するC_0O_2の単一相バルク体試料の合成に初めて成功した。ICP-AESにより、得られたC_0O_2試料のLi含有量は検出限界以下(x<0.01)であることを確認した。また、熱重量分析により、得られた試料はほぼ酸素定比組成を持つことが分かった。 C_0O_2相は広い温度範囲でほぼ一定の磁化率を示し、遍歴電子によるパウリ常磁性体であることを明らかにした。一方、Li量x = 0.50, 0.67の試料においてそれぞれ〜160K, 〜180Kで磁化率の異常が出現することを見出した。これらのx値は分数1/2, 2/3に相当するため、電荷整列またはその類似現象が起きている可能性が示唆される。以上のように、LixC_0O_2系の電子状態はLi量(X)の変化に強く影響を受けることが分かった。
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