2008 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属二酸化物の電気化学的強酸化合成とその電子構造の解明
Project/Area Number |
19740201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本橋 輝樹 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00323840)
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Keywords | 遷移金属二酸化物 / 層状コバルト酸化物層 / 電気化学手法 / Li<x>CoO_2系 / ^<59>Co-NMRINR / 磁性 / 熱起電力 |
Research Abstract |
本研究では、電子相関効果やスピンフラストレーション効果が期待される層状遷移金属二酸化物A_xMO_2(A=Li, Na ; M=Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu) について、各M元素に対する電子状態図を解明し、本系における電磁気物性の統括的な理解を図ることを目的とする。本年度は三角格子Li_xCoO_2系 (A=Li, M=Co) について、Li量 (x) を幅広く制御した高品質試料の合成と、得られた試料に対する物性評価を行った。以下に主な研究成果を示す。 ・Li_xCoO_2 (x=0.35, 0.25, 0.12, 0.0) の単一相試料を合成し、^<59>Co-NMR/NQR測定を行った。Li量 (x) の低下に伴い二次元CoO_2層内における反強磁性磁気相関が系統的に増大することを見出した。一方、x=0端組成であるCoO_2相はこの傾向には従わず、コリンハ則が成り立つ電子相関の弱い物質であることを明らかにした。 ・様々なLi量 (x) を持つLi_xCoO_2試料の直流磁化率測定を行い、職CoO_2系の電子状態図を構築した。本物質の電子状態はx=0.35-0.40付近を境に大きく変化し、低Li濃度側ではパウリ常磁性的、高Li濃度側ではキュリーワイス常磁性的であることを見出した。さらに、各試料の熱起電力測定を行い、高Li濃度側のキュリーワイス領域において巨大熱起電力が発現していること明らかにした
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