2009 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウム酸化物における「異常な」異常ホール効果と磁気構造
Project/Area Number |
19740203
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 義彦 Tokyo Medical University, 医学部, 講師 (60293122)
|
Keywords | ペロブスカイト型Ru酸化物 / 異常ホール効果 / 磁気測定 / 電子輸送測定 / 強相関電子系 / 結晶構造解析 / 構造相転移 / 電気・磁気特性 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型Ru酸化物Ba_<1-x>Sr_xRuO_3における異常ホール効果の「異常」および関連物質の以上物性に関する、以下の研究を行った。 1. Ba_xSr_<1-x>RuO_3単結晶を作製し、磁気測定、電子輸送測定を行った。その結果、ペロブスカイト構造をとる組成(~0.9<x)は強磁性で、我々が以前薄膜において報告したものと同様な異常ホール効果の「異常」が生じることを明らかにした。(論文準備中) 2. ペロブスカイト類似の層状構造をとる組成では、磁性・電子輸送特性に以下の特徴を見いだした。9層菱面晶構造(9R;x<0.1)では、(1)帯磁率の温度依存性はパウリ常磁性的だが、温度上昇とともに増大する、(2)電気抵抗は高温で金属的だが、100K以下で温度低下とともに増大する、(3)ホール効果は全温度領域で正で、温度上昇とともに単調に減少する。一方、4層六方晶構造(4H;0.1<x<~0.4)では、(1)帯磁率のパウリ常磁性的成分はほとんど温度変化しない、(2)電気抵抗は全温度領域で金属的、(3)ホール効果は低温で負、高温で正と、符号が反転する。以上の特性を、層状構造の違いによるフェルミ面の形状の違いで説明した。(Y.Kobayashi et al., JPCS, in press)。 3. Ba_xSr_<1-x>RuO_3と同様なペロブスカイト構造をもち、Bサイトに異なる遷移金属イオンを秩序配列させた強磁性酸化物La_<2-x>Bi_xNiMnO_6においてNMRの研究をおこない、Ni-O-Mn間の超交換相互作用とBi-Oの共有結合の競合により磁性と誘電特性が競合すること、見かけの電気磁気特性が向上することを明らかにした。(K.Asai et al, JPSJ 78 (2009) 114719 1-5.)
|