2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740241
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
御領 潤 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (70365013)
|
Keywords | 量子スピンホール効果 / 電子相関 / Kane-Mele模型 / グラフェン / トポロジカル不変量 |
Research Abstract |
量子スピンホール系の電磁気応答:近年のホット・トピックのひとつである量子スピンホール系について議論した。量子スピンホール効果は電場に対して垂直方向にスピン流が生じ、かつ伝導度が量子化される現象である。その起源はスピン軌道相互作用である。この問題は一体電子問題として議論されて来たが、最近になって多体電子相関の効果が注目されはじめて来ている。そして今年度、応募者は量子スピンホール系の標準的な模型として知られているKane-Mele模型にハバード斥力相互作用Uを加えた模型を議論し、Uの効果をゲージ場を用いて表し、系の電磁気応答を求めた。その結果、適当なパラメタ領域では磁場に対するロンドン方程式が得られる事を示した。この議論は系のバルク領域に関するものである。さらに、量子スピンホール系の特徴であるヘリカル・エッジ状態の寄与を取り入れたところ、ゼーマン効果を通して微小な寄与を及ぼす事が明らかになった。 バレースピン総和則に関するトポロジカルな議論:グラフェンや分子性有機物質などの電子状態の長波長極限において現れるディラック・フェルミオンに関する一般的な理論的考察を行った。その結果バレースピンと呼ばれるディラック・フェルミオンの種類を特徴付ける量子数の総和がゼロとなることと、電子の波数空間におけるトポロジーを特徴付ける位相不変量の性質との間に密接な関係がある事を示した。これらのけいでは位相不変量として、ブリルアンゾーン全体の上で定義されるチャーン数と、長波長極限をとって得られるスキルミオン数の2種類があり、両者がコンシステントな値をとるためにはバレースピンがゼロである必要があることを指摘した。
|
Research Products
(5 results)