2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高森 昭光 The University of Tokyo, 地震研究所, 助教 (00372425)
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Keywords | 観測手法 / 磁気浮上 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超伝導技術を応用した高感度回転地震計を開発研究して、回転地面振動の観測を試みることである。地震や火山の噴火によって励起される回転地面振動を観測することによって、震源過程や噴火過程について、従来の観測手段の枠組みを越えた情報を取得できることが理論的に予想されている。また、実際の観測例から震源のすべり構造分布の決定精度を格段に向上できることも実証されており、地球回転変動やプレートの回転運動など地球ダイナミクスに関する知見を得るためにも、回転の高精度観測手法が必要とされている。このような背景の下、回転地震計実用化の必要性が高まっているが、観測装置の能力の限界のため、広範囲での本格的な観測は未着手の状態である。これまでの極少数の観測例も、高分解能だが大規模で複雑な装置を用いたものか、分解能は低いが震源近くに設置できる運用性(機動性)の高い装置によるものに限られている。高い分解能と運用性を同時に実現した装置は未だ実用化に至っていない。本研究では、超伝導ピン止め効果という新しい技術を導入することによって、従来技術では困難であった問題の解決を試みる。 超伝導体バルクにはセラミックス系第二種高温超伝導体であるYBaCuOを用い、超小型パルス管冷凍機によって冷却する。パルス管冷凍機には機械ピストンがないため非常に振動が小さく、本研究のような応用に適している。バルクと冷凍機の間を金属ファイバー製防振ヒートリンクで接続して、バルクに伝わる冷凍機の振動を極力抑制する工夫を行っている。これらの装置および浮上体・制御用アクチュエータを組み合わせた回転地震計を試作し、各種の伊豆の評価や実験室内で実際の回転地震波の観測を行った。実験期間の制約から、長期にわたる実際の観測所での観測は実施できなかったが、実験室内での試験観測によってほぼ目標の分解能を達成したことを確認できた。
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