2007 Fiscal Year Annual Research Report
極低温星間塵表面における励起水素分子生成ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
19740301
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日高 宏 Hokkaido University, 低温科学研究所, 助教 (00400010)
|
Keywords | 低温表面反応 / 水素分子 / REMPI / 星間塵 / 反応熱 |
Research Abstract |
宇宙空間に存在する大量の水素分子は,星間塵(アモルファス氷で覆われたサブミクロンサイズの鉱物微粒子)表面で2個の水素原子の結合反応により生成されたと考えられている.水素原子が結合した際,約4.5eVのエネルギーが放出されるが,このエネルギーは生成水素分子の回転・振動エネルギーや,並進運動エネルギー(脱離を伴う)等に分配される.つまり,生成された水素分子は高励起状態であることが予想される.励起分子は基底状態の分子に比べ反応性が大きく異なることから,水素分子生成時の励起状態に関する情報(エネルギー分配過程)を明らかにすることは重要である.しかし,現在の星間化学や天文学では,この反応により放出される膨大なエネルギーについてまったく考慮されておらず,物理化学的にも固体表面での化学反応により放出されるエネルギーの今配過程は明らかになっていない.そこで,TOF法とREMPI法を組み合わせた実験システムを構築し,低温固体表面で生成される水素分子の内部エネルギーおよび運動エネルギー測定を行うことを目的とし研究をスタートした. 初年度は,研究計画の通り飛行時間型質量分析器の設計・製作を行い,実験装置に導入した.動作テストは,水素ガスをREMPI法によりイオン化し,その分子イオンの飛行時間スペクトルを検出することで行った.また,実際の水素分子生成実験時はパルス原子ビームを用いるため,今回さらにパルス分子線を用いた予備実験を行い,良好な結果を得た.
|
Research Products
(11 results)