2007 Fiscal Year Annual Research Report
中期鮮新世温暖期におけるエルニーニョ現象の挙動の解明
Project/Area Number |
19740316
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 剛 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 講師 (80396283)
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Keywords | 古海洋 / サンゴ骨格 / 中期鮮新世温暖期 / 酸素同位体比 / エルニーニョ |
Research Abstract |
中期鮮新世(5-3Ma)は、現在よりも地球の気温が3度近く高かった温暖期であり、地球が近い将来経験する地球温暖化の姿に最も近いと言われている。その温暖期に、エルニニョ現象を含む地球の気候システムがどのような応答をするのかを検討することを目的に研究を行った。 熱帯・亜熱帯のサンゴ礁に広く生息している造礁性サンゴの骨格には、数週間の分解能で数百年間に渡る連続した大気海洋環境の変動が記録されている。フィリピンルソン島北部のTartaro層からにおける地質調査により非常に保存の良い中期鮮新世の化石サンゴ(3.5-3.8M)の大型群体を発見した。これらのサンゴ群体はアラゴナイト骨格のみからなり続成作用によるカルサイトは全く検出されず、初生の情報が保持されている可能性が高いことがわかった。また、酸素同位体比の解析から、本研究で測定された大型の2群体(それぞれ35年間分の計70年間分)のサンゴ骨格の酸素同位体比の結果は、エルニーニョ現象に起因すると考えられる有為な数年間変動が検出され、周期解析のスペクトルの形状も現在と近いことが明らかになった。これは、中期鮮新世温暖期には現在の海洋と同様に西太平洋断水塊の東西振動に伴うエルニーニョ発生が起っていたとするはじめての証拠である。今後、これらの結果に基づき、その季節変化の時系列記録から、中期鮮新世温暖期においてエルニニョが発生していたのか、或は、発生せずにラニーニャ状態であったのか判定する。
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Research Products
(10 results)