2007 Fiscal Year Annual Research Report
窒素・三酸素同位体組成を用いた日本国内および周辺域の水環境中の硝酸の起源解明
Project/Area Number |
19740333
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 書子 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 助教 (70360899)
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Keywords | 硝酸 / 三酸素同位体組成 / 窒素同位体組成 / 海洋 / 湖 / 降水 |
Research Abstract |
日本国内の湖および周辺海洋域における水環境中の硝酸について、その窒素・三酸素同位体組成(δ^<15>N, δ^<17>O, δ^<18>O)を測定することにより、大気由来の硝酸が個々の水環境中の硝酸に占める割合を定量化し、東アジア諸国からの窒素酸化物(NOx)の影響を評価することを目標として、今年度は以下のことを行った。 (1)硝酸の窒素・三酸素同位体分析手法の実用化 新しく開発した「硝酸の高感度窒素・三酸素同位体分析システム」では、従来法の千分の一以下の試料量で硝酸の三酸素同位体組成を定量することが可能となったが、その定量精度には分析者ごとに差が出てしまう問題があった。また、実験経験の浅い学生が行うと分析操作を失敗することも多かった。そこで、硝酸の一酸化二窒素化部分を自動化することにより、この新分析手法の実用化・効率化を行った。その結果、定量精度を上げることに成功した。 (2)日本国内の湖および海洋における調査 日本国内の湖については、GEMS/Waterベースラインモニタリングとして定期水質調査の行われている摩周湖において調査を3回行った。また、海洋については、西部北太平洋亜寒帯海域、東京湾、石垣島にて調査を行った。また、大気由来の硝酸の同位体組成を決定するために、降水試料中の硝酸についても分析を行った。これらの結果をもとに大気由来の硝酸の寄与率を求めたところ、西部北太平洋亜寒帯海域で4%程度であったのに対し、摩周湖では10%程度、東京湾では6%程度、石垣島では20%程度と大陸に近いエリアでは大気由来の硝酸の寄与が大きいことが定量的に確認された。
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Research Products
(4 results)