2007 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素ーリン三重結合化合物:異種高周期元素間多重結合の合成と性質の解明
Project/Area Number |
19750024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中本 真晃 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (90334044)
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Keywords | 高周期典型元素化合物 / ケイ素化合物 / リン化合物 / 多重結合 / 低配位 / 速度論的安定化 |
Research Abstract |
高周期元素多重結合の化学は、同種元素間二重結合の化学を中心として発展してきた。一方、異種元素間多重結合の化学は、選択的合成が困難であるため有機元素化学において未解明分野の一つに考えられている。本研究では、未知化合物であるケイ素-リン三重結合化合物の合成を目的として研究を行った。19年度に主に実施した合成研究としては、ケイ素上に嵩高い置換基を一つ導入した前駆体を合成し、ケイ素-リンのσ結合を形成した後にケイ素上の2つのハロゲンとリン上の二つのプロトンから、脱プロトン化と同時にβ脱離させる方法を重点的に検討した。現在のところR-SiX2-PH2(Xはハロゲン)と表せる化合物の一般性のある有効な合成法は少なく、効率的に前駆体を合成する反応を開発することが成功の鍵となる。十分な立体保護効果の期待できる嵩高い置換基としては、ケイ素-ケイ素三重結合の安定化に実績のあったBis(bis(trimethylsilyl)- methyl)isopropysilyl基と、さらに嵩高い配位子としてBis(triptycyl)methylsilyl基について検討した。いずれもR-SiF3に対してPH2Liを作用させることでの前駆体を得ることには成功しており、現在その前駆体を用いて各種塩基との反応による脱プロトン化-β脱離の条件を調査中である。
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