2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアラインの多成分連結反応を鍵とする多官能性芳香族化合物群の迅速合成法の開発
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19750028
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
羽村 季之 Kwansei Gakuin University, 理工学部, 准教授 (20323785)
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Keywords | 多官能性芳香族化合物 / ベンザイン / ポリアライン / ハロゲン-金属交換反応 / 環形成反応 / ジシクロブタベンゼン / 芳香族性 / 構造化学 |
Research Abstract |
多くの置換基を有する多官能性芳香族構造は、各種の有用化合物にしばしば見出されるが、こうした高次構造を選択的に合成することは必ずしも容易ではなく、その効率的な合成法の開発は有機合成化学における重要な研究課題の一つである。本課題において研究代表者は、高度にひずんだ三重結合がもたらす特異な反応性を内在する"ベンザイン"に着目し、これを同一の核に複数個含む"ポリアライン"あるいは"その等価体"を合成反応に利用した斬新でユニークな多官能性芳香族構築法の開発に取り組んだ。 本年度では、ポリアラインの多重環状付加を利用して得られる多官能性芳香族化合物の更なる高次官能基化について検討した。中でも、ベンゼン環に三つの四員環の縮環したトリシクロブタベンゼンの熱的開環を鍵とする反応性について詳しく調べた。その結果、反応条件を適切に選択すれば、三つの四員環がすべて開裂したヘキサラジアレンに異性化することを見出した。この際、四員環上の置換基の立体的な嵩高さが反応に大きな影響を与えることが分った。また、得られるヘキサラジアレンのきたX線結晶構造解析に成功し、中央の六員環は平面構造ではなく、ねじれボート型を有していることが分った。さらに、ヘキサラジアレンの三つのジエン部位を利用した連続的な環付加反応により、三方向への変換が可能であることも明らかにした。この反応性を利用して拡張π共役系のトリフェニレン誘導体を合成することができた。
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Research Products
(5 results)