2007 Fiscal Year Annual Research Report
異種金属混合原子価一次元鎖錯体の電子構造制御と導電物性評価
Project/Area Number |
19750048
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
植村 一広 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 助教 (60386638)
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Keywords | 錯体合成 / 量子細線 / 導電物性 |
Research Abstract |
本研究では、以前に見出した、ロジウム挿入型白金一次元鎖(-Pt-Rh-Pt_4-Rh-Pt-Cl-)の結晶構造をもとに、-Pt-M-Pt4-M-Pt-Cト(M=異種金属)の繰り返し単位を有する、新規異種金属挿入型白金一次元鎖の構築を目指し、そのモジュールとなる二核錯体の合成検討を行った。 1.異種金属にタリウムを選択することで合成した。既報の[PtTI(PVM)_2(NH_3)_2(N0_3)_3(MeOH)](PVM = pivaloamidate)を、3等量のKC1とともに、H_2O中で撹拌により合成した。配位していたN0_3・アニオンがCI・アニオンに置換して、[PtTl(PVM)_2(NH_3)_2Cl_3]・2MeOHを高収率で得た。単結晶X線構造解析の結果、Pt-Tl二核構造を形成していることがわかり、金属間距離は2.6938(14)Åであった。白金とタリウムは同周期であるので、軌道レベルが近接した、異種金属白金二核錯体を合成できた。 2.ロジウムと同族で、第一遷移金属のコバルトで試したところ、1とCoCl2を溶媒中で攪拌すると、瞬時にPt-Co-Ptの三核錯体を形成した。この傾向は、同周期のニッケルと銅でも同様であった。ロジウムと同周期のパラジウムを用いても、同様に三核化か進行した。これらの検討から、第一遷移金属および第二遷移金属の一部は、白金単核錯体を混合すると三核構造を形成しやすい傾向があることを確認した。これは、これらの遷移金属が溶液中で配位子置換活性であることに起因し、対称性を持った構造へと熱力学的に安定化するためと考えられる。 3.次に、新しいPt2二核錯体の合成検討を行った。cis-[PtTCM]_2(NH_3)_2](TCM=trichloroacetamidate)とcis-[Pt(OH)_2(NH_3)_2](CLO_4)_2をH_2O中で混合すると黄色単結晶[Pt_2(TCM)_2(NH_3)_4](ClO_4)_2・3H_2Oを得た。単結晶X線構造解析の結果、2つの白金は2つのTCMにより架橋され、金属間距離は3.0786(19)Aであった。また、結晶構造中では、2つの二核錯体が3.182(2)Aの金属問題離で二量化し、四核構造を形成していた。
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Research Products
(14 results)