2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポアを有するイリジウムポルフィリン集積体を用いた水中二酸化炭素還元触媒の開発
Project/Area Number |
19750049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 了輔 Kyushu University, 未来化学創造センター, 助教 (50423570)
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Keywords | ポルフィリン / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イリジウムポルフィリン錯体のナノ構造体を利用した、水中で水素ガスを還元剤として二酸化炭素をメタンガスに変換する、水中ガス変換触媒系を構築することである。平成19年度は、(1) イリジウムポルフィリン錯体の合成、(2)ポルフィリンを用いたナノ構造体の構築、(3) 水素ガスを還元剤として用いるための水中での水素分子の活性化、に関する研究を行った。(1) イリジウムポルフィリン錯体の合成では、水溶性ポルフィリン配位子を用いることで、水溶性のイリジウムポルフィリン錯体を初めて合成することに成功し、X線結晶構造解析によりその構造を明らかにした。この錯体の水中での水素分子との反応性について検討中である。(2) ポルフィリンを用いたナノ構造体の構築では、大きな歪みを持つポルフィリンにより形成されるナノボア構造に、ゲスト分子を取り込ませることに成功した(Chem. Eur. J. 2007,13,8714-8725)。また、酸化還元活性なゲスト分子を取り込んだナノ構造体に光照射を行うことで、ゲスト分子との電子の授受が可能であることがわかった。これらの結果により、ポルフィリンにより構築されたナノボア内に、水素や二酸化炭素等の小分子を取り込むことができ、酸化還元反応を行えることが示された。(3) 水素ガスを還元剤として用いるための水中での水素分子の活性化では、水溶性の金属錯体を用いて、水中・常温・常圧での水素分子の活性化に成功した(Science2007,316, 585-587)。ここで得られた水素分子の活性化のメカニズムは、イリジウムポルフィリン錯体においても同様と考えられ、目的とする水中ガス変換触媒系の構築において重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)