2007 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属求核剤の活性化を基盤とする不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
19750072
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
波多野 学 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 講師 (20362270)
|
Keywords | 有機金属 / 不斉触媒反応 / カルポニル化合物 / 炭素-炭素結合生成反応 / 酸・塩基複合触媒 / アート錯体 |
Research Abstract |
本申請研究では、アート錯体型の酸塩基複合触媒を用いる独創的なアプローチにより、実用的な有機金属求核剤の炭素-金属結合の活性化を重点的に検討した。特に、求核剤の求核能向上と酸性部位の機能向上の双方を同時に達成させ、ケトン類を基質とする炭素-炭素結合生成を伴う新規触媒反応を開発し、エナンチオ選択的触媒反応へと展開した。検討項目「アート錯体型の酸塩基複合触媒の開発と触媒不斉アルキル化反応への展開」では、非不斉反応の充実(触媒量低減、金属種拡大、基質一般性の獲得)を最優先課題として検討を行なった。また、アート錯体触媒に対して、キラル源(Ln*)をカチオンまたはアニオン部位に導入し、基質や反応剤にあわせた触媒設計の検討を行なっている。その結果、不斉系・非不斉系とも、高濃度の有機金属試薬に、優れたアルキル化剤としての機能があることが明らかとなってきた。検討項目「キラルリン酸アルカリ金属塩を用いる有機ケイ素化合物の炭素-ケイ素結合活性化」では、種々の合成的価値の高い化合物が得られる有機ケイ素化合物、特にトリメチルシリル化合物の炭素-ケイ素結合活性化に的を絞り、リン酸アルカリ金属塩(R_2P(=O)OLi)を用いた不斉触媒反応の開発を行なった。具体的には、不斉シアノ化反応において、種々のリン酵エステル・リン酸アミドなどを合成し、アート錯体化した6配位ケイ素中間体を経る新規不斉触媒システムを構築した。アルカリ金属触媒は複雑な会合性を有しており、水、アルコール助触媒により会合度を変化させ、触媒活性向上を検討した。その結果、ケトン由来のシアノヒドリン合成において、80%ee〜85%ee程度の高エナンチオ選択性を発現させることに成功した。
|
Research Products
(18 results)