2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属求核剤の活性化を基盤とする不斉触媒反応の開発
Project/Area Number |
19750072
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
波多野 学 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 講師 (20362270)
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Keywords | 有機金属 / 不斉触媒反応 / カルボニル化合物 / 炭素-炭素結合生成反応 / 酸・塩基複合触媒 / アート錯体 |
Research Abstract |
本申請研究では、アート錯体型の酸塩基複合触媒を用いるアプローチにより、実用的な有機金属求核剤の炭素-金属結合の活性化を重点的に検討した。特に、求核剤の求核能向上と酸性部位の機能向上の双方を同時に達成させ、ケトン類を基質とする炭素-炭素結合生成を伴う新規触媒反応を開発し、エナンチオ選択的触媒反応へと展開した。H20年度は、新たに検討項目「トリメチルシリルエノラートを活性化するスーパーアニオン触媒の分子設計」で、アルカリ金属アルコキシド-クラウンエーテル複合触媒がケトンへの向山アルドール反応に極めて有効であることを見出した。同触媒はシリルホスホニル化反応に有効なルイス塩基触媒として機能する一方、直截的ヒドロホスホニル化反応に有効なブレンステッド触媒としての機能も発現させることに成功した。この手法により、次世代の開発に不可欠な多官能基化された第三級アルコール合成の不斉触媒化に向かう基礎を確立できた。一方、H19-20年度継続検討項目「アート錯体型の酸塩基複合触媒の開発と触媒不斉アルキル化反応への展開」では、非不斉反応の更なる検討を行なった。特に[(Me_3SiCH_2)_2ZnR][MgCl]を触媒的反応剤とする種々のカルボニル化合物に対するグリニャール反応を達成した。種類を問わないRMgX(X=Cl, Br, I)に適用できたことは、本研究の画期的成果といえ、工業的に極めて重要である。またグリニャール反応剤をアルキル源とする無溶媒条件でのキラル亜鉛(II)触媒を用いる光学活性アルコール合成も達成した。H19-20年度継続検討項目「キラルリン酸アルカリ金属塩を用いる有機ケイ素化合物の炭素-ケイ素結合活性化」では、不斉シアノ化反応のほか、不斉アルドール反応や不斉マンニッヒ型反応などを検討し、高活性触媒の創製に向けた基礎的な知見を得た。
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Research Products
(25 results)