2008 Fiscal Year Annual Research Report
銅触媒によるジカルコゲニド結合の開裂を伴う立体選択的有機カルコゲニド化合物の合成
Project/Area Number |
19750081
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
谷口 暢一 Fukushima Medical University, 医学部, 講師 (00336455)
|
Keywords | 銅触媒 / β-ハロアルケニルスルフィド / アルキン / ジスルフィド / チオール / (Z)-タモキシフェン |
Research Abstract |
本研究では、銅触媒とジカルコゲニドを用いたアルキンへの付加反応を開発し、同時に、ジカルコゲニド化合物の2つのカルコゲニド基を無駄なく利用できる反応を確立する。かつ、異なる置換基を有する様々なアルケニル化合物の立体選択的合成法として確立することを目的としている。 今年度は、銅触媒によるジスルフィドを用いた、アルキンへの立体選択的付加反応を進行させるための条件を確立した。これにより、(E)-β-ハロアルケニルスルフィドの合成だけでなく、セレニド誘導体の合成にも利用できることを見出した。これらの反応では、いずれも、ジカルコゲニドの両方のカルコゲニド基を無駄なく利用することが可能である。 また、ここで開発した条件を用い、酸素雰囲気下において、チオールを用いて反応を行った場合にも、β-ハロアルケニルスルフィドを立体選択的に収率良く合成できることを見出した。 さらに、これらアルケニルスルフィドを、多置換アルケンへ変換することも可能である。すなわち、エストロゲン拮抗作用を持つ(Z)の-タモキシフェン(乳がんの治療薬)の合成にも応用できる。本反応では、ジフェニルアセチレンから3段階で、(Z)-タモキシフェンを立体選択的に、かつ、簡便に合成することができる。
|