Research Abstract |
昨年度は, イミダゾリウム系のイオン液体([Bmim][BF_4])中においても粒子の合成が可能であり, 粒子径・粒子径分布の制御が可能であることを明らかにしたが, 本年度は得られたポリスチレン(PS)粒子をシードにメタクリル酸メチルのシード分散重合を行い, PS/ポリメタクリル酸メチル複合粒子の合成に成功した。また, イオン液体の特殊な溶解性を利用して, 水溶性高分子であるポリアクリル酸微粒子の合成にも成功した。さらに, PS粒子の存在下, アクリル酸のシード分散重合を行ったところ, 疎水性高分子であるPSと水溶性高分子であるポリアクリル酸が一粒子中に存在した複合高分子微粒子の合成に成功した。この様な高分子は通常の媒体では非常に困難な微粒子であり, 非常に興味深い複合粒子である。 さらに, 本申請者らが独自に提起している相分離自己組織化法を適用することによりイオン液体カプセル粒子の合成も検討し, これまでの有機溶剤系と同様, 相分離を促進させ, 界面張力を考慮することにより, イオン液体含有カプセル粒子の合成に成功した。イオン液体は, 高イオン伝導性, 広い電位窓を有することから電解質としても注目され, 電気化学デバイスとしての応用が期待されており, この得られた粒子は, 新たな固体電解質としての微粒子材料として期待される。さらに, カプセル粒子のシェル構成高分子をイオン液体感温性高分子に変化させることでもイオン液体高分子微粒子の合成に成功しており, 体積相転移も観察することができた。いまだ, イオン液体中における重合の加速現象は未解明であるが, イオン液体を用いることにより, これまで不可能であった複合高分子微粒子や新たな機能性高分子微粒子合成への重要な知見を得ることができた。
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