2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化単分子層を用いた多様な分子-電極接合の構築と単一分子電気伝導測定
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19750102
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高草木 達 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 准教授 (30359484)
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Keywords | 単一分子電気伝導 / 自己組織化単分子層 / 電気化学走査型トンネル顕微鏡 / ナノコンタクト |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、当初の予定であった分子軌道が電気伝導性に与える影響を調べるため、Au(111)単結晶麺上に多電子酸化還元能を示すRu二核錯体を骨格に含む自己組織化単分子層(SAM)を構築し、 電気化学走査型トンネル顕微鏡を用いて、分子一個ずつを識別しながら電気伝導性の評価を行った。 基板及び探針の電極電位を変化させ、Ru錯体の酸化状態を制御しながら(Ru(III, III)、Ru(II, III)、Ru(II, II))観察を行ったところ、軌道の占有状態やトンネルバイアスの大きさ等により像輝度は大きく変化した。酸化状態の差によるRu錯体の構造変化はそれほど大きくないと考えられるため、像輝度の変化は凹凸由来ではなく、探針、基板、分子軌道のエネルギーレベルの相対位置によるものと考えられる。分子軌道が電子で占有されていないときにRu錯体は明るく見えることから軌道を介した共鳴トンネリングによる電子伝導パスが存在すると示唆される。 また昨年度、Au(111)表面上にジチオール自己組織化単分子層を形成し、その後塩化白金酸イオン([PtCl_4]^<2->)を吸着・還元させることでPt/SAM/Au(111)接合構造を構築したが、基板とSAMの結合による電気伝導性の変化をみるため、Si(111)表面上にSi-C共有結合を介した分子層を構築後、同様にPt層を形成して接合構造を作成し、電気伝導測定を行った。さらにその形成過程を偏光全反射蛍光XAFSにより追跡し、錯体の吸着構造や還元後のPt層の詳細な構造を決定した。
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