2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750144
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 太一郎 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 助教 (60423901)
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Keywords | 酵素反応 / 分子認識 / 可視化 / 構造解析 / チオエステル化 / 立体識別 |
Research Abstract |
ホタルルシフェラーゼによる立体選択的チオエステル化反応を用いた効率のよい光学活性体調製法の開発と高い立体識別能発現理由を解明することを目標とした。ルシフェラーゼはホタルの発光反応に関わっている酵素である。本酵素は長鎖脂肪酸に対してチオエステル化を行う酵素(Long-chain acyl-CoA synthetase,LACS)とアミノ酸の一次配列レベルにおいて高い相同性を示すことが分かっている。生物発光とチオエステル化は一見すると全く違った反応のように見えるが,共通の反応中間体(アシル-AMP中間体)を経由する。このように,アミノ酸配列や反応機構が似ていることから我々は,ルシフェラーゼは発光活性だけでなくチオエステル化活性も有していると考えた。この予想は的中し,ヘイケボタル由来のルシフェラーゼ(LUC-H)がR体の2-アリールプロパン酸に対して立体選択的なチオエステル化反応を触媒できることを世界に先駆けて報告している。本研究において私は,LUC-Hによるチオエステル化反応の速度論的解析と,酵素が基質の不斉を見分ける理由を解明することを目的とした研究を行った。具体的には,ケトプロフェンの両鏡像体を調製し,これを用いてラインウェーバー・バークプロットを作成,速度論的パラメータを算出した。本解析によってケトプロフェンに対する不斉点識別は,基質が酵素に結合する段階ではなく,補酵素Aが攻撃する段階であることを予想できた。また,反応中間体アナログを合成し,それに関して同様のプロットを行うことで,阻害能および様式を確認した。また,本アナログを用いた,結晶化の検討を行い,構造解析に耐えうる結晶作成条件を探索した。得られた結晶を用いてSpring-8でのX-線照射実験を行ったところ,1.5Åという高解像度にてモデル構築を行うことに成功した。
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Research Products
(5 results)