2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規プロトン移動型レーザ色素を用いた次世代有機発光デバイスの創成
Project/Area Number |
19750165
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
坂井 賢一 Chitose Institute of Science and Technology, 光科学部, 講師 (50342788)
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Keywords | 分子性固体 / 有機電子材料 / レーザ色素 / 有機発光デバイス |
Research Abstract |
本研究では,有機半導体レーザに代表される次世代有機発光デバイスの実現に向けて,プロトン移動(PT)型レーザ色素(励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)を経由して発光する色素)を対象に,キャリア輸送能とレーザ活性能を同時に持ちあわせた新規PT色素の開発を進めている.平成19年度は主に,ベンゾアゾール骨格をもつPT色素を基盤として,π電子系拡張への分子設計検討,および合成を行った.現在のところ,ベンゾアゾール骨格への拡張基の導入位置が,発光特性やレドックス活性に大きく影響を与えることがわかり,キャリア輸送性と発光特性の両方を同時に向上させることが可能な拡張基の種類や導入位置の検討を行いながら合成研究を進めている.一方,新たなPT色素系の開拓も行い,配位子内に互変異性可能な水素結合をもつ金属錯体の開発も進めてきた.その結果,ESIPT発光を示す新規亜鉛錯体([Zn(hqxc)_2(pyridine)_2])の開発に成功した.この錯体は薄膜化も可能で,その薄膜の誘導放出特性を調べたところ,従来のPT型レーザ色素同様,高濃度条件にも関わらず増幅自然放出光(ASE)が観測させた.金属錯体でASEを示すのはこれが初めての例である.その他,PT色素の有機無機複合材料系や液晶材料系への展開も視野に入れ,サリチルアミド系PT色素を有機層に導入した有機無機層状ペロブスカイトの製膜条件の検討や,ベンゾアゾール骨格に長鎖アルコキシ基を導入したPT色素を対象に良質な薄膜を得る為の条件検討を行い,膜質の改善を果たした.
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