2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750181
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松葉 豪 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (10378854)
|
Keywords | ポリオレフィン / 結晶化 / 相分離 / 小角中性子散乱 / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
ポリオレフィンブレンドの中でも重水素化物と軽水素化物を用いて、構造形成過程をその場小角中性子散乱法やその場小角X線散乱法、DSC測定により明らかにすることを試みた。特に、外場中での構造形成機構に着目し、いわゆるシシケバブ構造形成プロセスを明らかにすることに成功した。ポリオレフィン系の相分離を温度条件で制御しながら、結晶化プロセスを観測することで、延伸方向に引き伸ばされた伸長鎖晶であるシシ構造の形成機構およびシシ構造の周りにエピタキシャル的に成長したケバブ構造の発展を観測した。まず、延伸を印加する前の構造について、精密に解析を行い、小角中性子散乱について、密度揺らぎに起因する散乱と、重水素=軽水素による成分揺らぎに分離することに成功し、Orstein-Zernike型の揺らぎで記述できることを示した。また、延伸過程においては、徐々にラメラが引き伸ばされ、引き伸ばされたラメラ晶が割れるプロセスを観測した。さらに、いったん形成したケバブ構造がさらに延伸すると消失していることを示した。このことは、延伸によってケバブ構造が引き伸ばされ伸長鎖構造すなわちシシ構造に変化していることを示した。さらに、シシ構造の形成機構についても現在解析を行っている。シシ構造は延伸により徐々に数密度の増大を散乱法により示した。また、逆に直径は若干ながら細くなっている、すなわち延伸によって伸長鎖結晶が増大していることを示した。また、そのほかのオレフィンブレンド系についても基礎的な実験を行った。たとえば、超分子量成分の濃度が異なるアイソタクチックポリプロピレンに対してせん断流動測定を行い、超高分子量成分が3%程度存在する場合、結晶化が非常に促進されるが、5%を超えるとむしろ結晶化の阻害要因になることを実験的に示すことに成功した。
|
Research Products
(12 results)