2007 Fiscal Year Annual Research Report
Sc含有Al-Mg合金及びAl-Mg-Si合金の高温疲労特性の評価と改善
Project/Area Number |
19760063
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邊 千尋 Kanazawa University, 自然科学研究科, 講師 (60345600)
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Keywords | 機械材料 / 金属疲労 / Sc含有Al合金 |
Research Abstract |
現在自動車車体用A1合金として代表的な5000系Al-マグネシウム(Mg)合金及び6000系A1-Mg-シリコン(Si)合金に,高温における材料組織の安定化を目的としてスカンジウム(Sc)を添加し,150〜250oCの範囲で高温疲労特性の評価を行う.加えて得られた知見をフィードバックし微視組織制御による高温疲労特性の改善を目的とする.さらに,Scを添加した本合金系では,高温までナノ結晶粒が安定化することが期待され,優れた高温疲労強度を持つ材料を創製できる可能性がある.本研究ではこのことについても探る. 平成19年度は,Scを添加したAl-Mg合金の第2相析出物の分散状況を変化させ,微視組織と高温疲労挙動の関連性について調査を行った.その結果,繰返し数に対して塑性ひずみ振幅の変化を表した繰返し硬化曲線において,亜時効材,ピーク時効材では初期硬化の後に疲労軟化を示した.これに対して過時効材では初期硬化の後に塑性ひずみ振幅は飽和した.疲労軟化を示した試料表面ではすべり帯が観察され,変形の局在化が認められた.試料内部を観察するとバンド状の転位組織が形成しており,表面観察結果と良く対応している.一方,塑性ひずみ振幅が飽和した試料表面ではすべり帯が観察されず,また試料内部においても明確な転位組織は形成しておらず,転位は巨視的に均一に分布していた.高温での疲労寿命は室温のそれよりも低下した.高温疲労試験後の試料表面では粒界すべりや粒界に沿ってクラックが伝播していたことから,粒界すべりによって粒界割れが生じ,疲労寿命が低下したと理解できる.
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