Research Abstract |
本研究での水方式による躯体蓄熱暖冷房システムは,高断熱建物における室内負荷の顕熱成分に対応するシステムである.CASBEEの最高ランクSに相当する建物を対象に,POEM-Oを用いた心理的評価と物理的評価との簡易比較について,快適性の観点から検証した【学会発表:3件】.更に,フリークーリングによる床冷却の簡易評価について,熱収支の観点から検証した【学会発表:4件】. 高断熱+水方式の長期計測及びその検討では,短期・長期計測で明らかにされた諸問題への対応と,他の建物でも適用可能か否かを判断する標準化への対応を検討した.具体的には,BEMSデータを継続して実測調査し,床冷房における制御手法のコミッショニングを行った結果,フリークーリングによる省エネルギー効果として,フリークーリング寄与率,熱源システムCOP,夜間移行率を明らかにした.また,札幌・仙台・東京・福岡の4地域を対象に,ガラス被覆空間を有する建物のPALに対してタグチメソッドを用い,PALを低減する建物の仕様を検討し,改善仕様と最適仕様を明らかにした.得られた改善仕様を参考に,簡易予測制御を適用した配管埋設型の床暖冷房システムの設定水温について分析し,連続運転や改善仕様に伴い,低温温水による輻射暖房ならびに高温冷水による輻射冷房の可能性が示唆された【学会発表:2件】.次年度も継続して,これらの成果発表を予定している. 更に,建物の高断熱・高気密化に伴い,熱・光環境を形成する内的因子(室内発生熱)及び外的因子(日射取得熱)の中で,トップライトからの日射取得熱を定量的に把握することが,本システムにおける環境設備計画(最上階のオーバーヒート,熱源機器容量の過大設計等)にとって必要不可欠であることが確認された.そこで,実測や模型実験を通じて,発光効率を用いた測定照度から日射負荷を推定する手法を提案し,その妥当性について寒冷地及び首都圏の場合で感度解析を行った【学会発表:3件】.
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