2008 Fiscal Year Annual Research Report
マルチエージェントシステムを利用したパニック発生のメカニズムに関する研究
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19760419
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍋島 憲司 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特任研究員 (80431815)
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 防災 |
Research Abstract |
本研究は災害対策を反映した建築計画の必要性が高まりつつあることを受け, マルチエージェントシミュレーションモデルを用いて, パニックが発生する場所・条件を明らかにしようとするものである.こうした問題の基礎研究として, まずは都市や建築空間内部で危機が発生しやすい場所を発見する手法の確立を目指した 都市内部を人や物が交通する際, 他よりも多くが流入してしまうエッジが存在するはずであり, これは都市の形態を解析することによってもある程度予測が可能なはずである.そこで都市をグラフとして表現し, その解析を行った.現実の都市には, ノードやエッジに様々な重み付けがなされている.たとえば道路には速度制限や一方通行などがあり, 交差点には右折禁止などの条件がついている.交差点で直進・左折をするのと右折をするのでは要する時間が異なるのが通常である.本研究では, グラフにこれらの交通情報を付与した重み付きグラフも解析の対象とすることにした. グラフ上を多数のエージェントが動き, また複数の訪問先ノードをある条件の下で訪れるようにしたとき, 必然的に流入量の多いエッジが発生する.このようなエッジを明らかにすることによって, 都市内部の交通が集中する地域を発見することが出来る. また, 連続空間をランダムなドロネーネットワークとして表現し, そのネットワーク上でエージェントシミュレーションを行うことによって, どのような平面形状がパニックを引き起こしやすいか評価できる可能性があることが分かった.パニック発生のメカニズムを解明するには更なる研究が必要であるが, その指針をまとめることが出来た.
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