2007 Fiscal Year Annual Research Report
ベルニーニを中心とした17世紀宮殿建築における立面分節と内部空間分節の整合性
Project/Area Number |
19760450
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Research Institution | Hokusei Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
遠藤 太郎 Hokusei Gakuen University Junior College, 講師 (20347420)
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Keywords | 建築史 / オーダー / 宮殿 / バロック建築 |
Research Abstract |
本研究の目的は、17世紀の宮殿建築において、オーダーによる立面の分節が内部空間の分節とどの程度一致しているか、およびその一致に対する建築家達の考えがいかなるものであったかを明らかにすることであった。つまり、研究着手前には外観の統一性と比較して内部空間に関してはその分節への志向のみを前提としていた。しかし研究を進める過程で内部空間における統一性強化の手法に関して考えさせられる事例に当った。つまり、宮殿建築における内部空間の統一性を高めるための手法としてのアンフィラードということである。よって、本年度は立面分節と内部空間分節の関係を考える前に明らかにしておかなければならない問題として、宮殿建築の内部空間の統一化の手法を研究し、その結果を別記の二度の学会にて発表した(先の発表では主に手法について、後の発表では手法及び理論について)。概要は以下の通り。 ・ベルニーニによるルーヴル宮計画案の平面では、他の建築家のものと比較して、多くのアンフィラード軸が設計されている(アンフィラードによる視線の通りがベルニーニにとって重要であったことは、パリ滞在中のベルニーニがルーヴル宮の正方形のゆがみに気づき、それによってアンフィラード軸がまっすぐ通らなくなっていることに関して何度も苦情を述べていたことからも明らかである)。 ・それにより、平面の流動性及び統一性が高められていた。 ・以上の特徴は、ベルニーニの構造上のコンセプト(主要な壁体とそれ以外の壁体との差異が小さく、均質な構造体)によって支えられていた。 ・結果、ベルニー二の平面では、空間性が物質性に対して優位に立つ傾向が顕著である。 ・これは建築設計における視覚性の優位の反映であり、ベルニーニの建築職能観(=設計は芸術家が行うべき)と一致する。
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Research Products
(2 results)