2008 Fiscal Year Annual Research Report
チタンの多様な配位状態に基づく光機能材料の創出および評価
Project/Area Number |
19760472
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 儀宏 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (50442728)
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Keywords | 酸化物 / チタン / 結晶 / ガラス / 二次光非線形性 / 蛍光 |
Research Abstract |
本年度はTiを含有する各種結晶の合成と室温発光特性の調査およびその理論的解釈、そして高い二次光非線形性を有するフレスノイト型結晶化ガラスの前駆体である非晶質フレスノイトの構造的議論を中心に研究を推進した。以下にその詳細を述べる。 ピラミッド型TiO_5配位多面体の底面が向かい合う特異な構造を有する鈴木石型BaTiSi_2O_7において、オレンジ発光特性とその発光起源について調査を行った。蛍光・励起スペクトルや蛍光寿命測定の結果より、室温における580nmピークを持つ発光はTi-Oユニットの酸素欠陥に由来する発光であることを見出した。また、ベニトアイト型BaTi(Si, Ge)_3O_9相の合成とGe置換が与える青色発光強度の減少について議論し、Si^<4+>より大きなGe^<4+>が導入することで、孤立TiO_6八面体におけるTi^<4+>-O^<2->結合の基底状態と励起状態の平衡距離が大きくなり、その結果青色発光の失活が起こると結論した。これら結果は他のd軌道に電子を持たない遷移金属イオンを発光中心とする結晶材料にも適応可能である。 またベニトアイト型およびフレスノイト型化合物のラマン散乱スペクトルを測定し、Badger則を適応することで、これら化合物の分光学的見地からの構造的議論を行った。さらに結晶化によりLiNbO_3級の光非線形性を発現するBa_2TiSi_2O_8およびBa_2TiGe_2O_8ガラス(非晶質フレスノイト)について、昇温過程において低波数非弾性光散乱スペクトルを測定し、ガラス構造とその緩和過程を調査した。その結果、非晶質フレスノイトの構造はガラス形成酸化物及びガラス修飾酸化物富化領域からなる不均一構造を有することを明らかにした。ガラスの近・中距離構造と結晶化は密接に関連していることから、本研究結果は均質かつ高い光非線形性を有する結晶化ガラス創製への重要な知見と考えられる。
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