Research Abstract |
本年度は,新しいガラスレンズ金型用非晶質合金候補として,3種類のPt基合金(Pt-Hf-Ni,Pt-Zr-Ni,Pt-Zr-Cu)について,材料探索を行った.まず,コンビナトリアルアークプラズマ蒸着法を用いて薄膜ライブラリを製作し,非晶質組成領域の特定を行った.その結果,すべての合金系で,Pt過剰組成で非晶質組成領域を示し,Ptの非晶質組成領域はいずれも,50〜60at%の範囲であった.特定された非晶質組成の試料をスパッタにより再成膜し,金型材料として必要な結晶化温度,溶融ガラスとの融着性,ダイヤモンドバイトでの被削性を調べた. 目標の結晶化温度をガラス材料のガラス転移点(830K)よりも十分高い973Kに設定し,各合金系について調べた.その結果,Pt-Hf-Ni,Pt-Zr-Ni系の試料の中でいくつかの試料は,目標値以上の結晶化温度を得られたが,Pt-Zr-Cu系の試料は,目標値を満たす試料は得られなかった. 溶融ガラスとの融着性を調べるために,ガラス成形機の実機を用いて,溶融ガラスの滴下試験を行った.ガラス成形時と同じ大気中で,試験を行うことで,試料の耐酸化性についても調べた.その結果,いずれの試料も,溶融ガラスと融着しなかった.また,滴下試験後の試料についてX線回折測定を行った結果,いずれの試料も非晶質で,結晶化や酸化物のピークは観察されなかった. Pt-Hf-Ni,Pt-Zr-Ni系の試料についてダイヤモンドバイトによる切削試験を行った.t-Zr-Niの被削性は,従来のPt非晶質合金・PtHfZrNiと比べ優れていた.しかし,Pt-Hf-Niは,ダイヤモンドバイトで切削加工することができなかった. 本年度探索したPt-Zr-Ni非晶質合金を用いて,ガラスレンズ金型の試作を行い,回折溝を有する金型の製作を行った.
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