Research Abstract |
本年度は, 新しいガラスレンズ金型用非晶質合金候補として, Ni-Nb-Zr薄膜非晶質合金について, 材料探索を行った. まず, コンビナトリアルアークプラズマ蒸着法(CAPD)を用いて薄膜ライブラリを製作し, 非晶質組成領域の特定を行った. その結果, Nb濃度 : 20〜80at%と広範囲で非晶質領域を示した. 得られたアモルファス組成領域内で, スパッタサンプルを製作し, ガラスレンズ成形金型用材料に要求される以下に示す各特性の評価を行った. (1) 熱的安定性 : 真空中723K, 100h加熱保持しても結晶化しない. (2) 切削加工性 : ダイヤモンドバイトのRバイトを用いてテーパ形状の切削加工を行い, バイトの切込み角に対する実際の切削角を切削除去率と定義し, それが90%以上あること. (3) 機械的性質 : 引張強度が1GPa以上, ナノインデンテーション法による硬さが, 7GPa以上あること. (4) 耐酸化性 : 大気中723K, 40h加熱保持しても, 未酸化であること. (5) 融着性 : 溶融したガラスと融着しないこと. その結果, Ni_<35>Nb_<40>Zr_<25>(at. %)のサンプルにおいて, 真空中723K-100h加熱保持してもアモルファスを維持し, Rバイトでの切削除去率94%, 引張強度1.71GPa, 硬度10.0GPa, 大気中723K-40h加熱保持しても未酸化であり, ガラスとの低融着性を示し, 新しいガラスレンズ金型用非晶質合金を発見した. さらに, 切削加工性を向上させるため, 第四元素のTiを添加し, その効果を検証した. その結果, Ti添加量15, 20(at. %)のサンプルで, 剣先バイトによる切削加工が行えるようになり, 微細な回折格子の製作に可能性を見出した.
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