2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760489
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
矢野 啓 University of Yamanashi, クリーンエネルギー研究センター, 産学官連携研究員 (70402021)
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Keywords | 燃料電池用合金触媒 / 酸素還元 / チャンネルフロー二重電極 / ナノカプセル法 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)には白金系貴金属微粒子を炭素担体に担持した電極触媒が用いられているが,白金カソードの酸素還元(ORR)過電圧は非常に大きく,全電圧ロスの約80%を占める問題がある。したがって,いかに白金を有効に使い,少量の白金で高活性を実現するかが重要な課題となる。 本研究では逆ミセルを応用したナノカプセル法によってPtxM/C(X=1,2,3;M=Co,Cr)高分散合金触媒を合成した。XRD測定の結果,PtM規則合金や酸化物等は確認ざれず,fcc構造の固溶体を形成していることを明らかにした。また,合成後の担持量や金属組成は,仕込み値からほとんどずれることなく制御できていた。合成した粒子経はおよそ2nmであり,実用触媒サイズの合金粒子を合成することに成功した。 合成した触媒の酸素還元活性(ORR)と過酸化水素生成をチャンネルフロー二重電極(CFDE)法によって検討した。固体高分子電解質膜の劣化要因となる過酸化水素発生率は,Pt/C触媒の0.5%に対し,合金化することによって0.1%に抑制できた。 ORR活性は合金化することで,Ptに対する面積比活性は1.5倍から2.2倍の向上が確認された。それは合金組成にも依存し,Pt3Co/CB触媒で最も高い活性が得られた。この時の重量比活性は3倍と見積もられた。また,組成比によって高温活性を維持する温度も異なり,PtCrでは50℃,PtCoでは60℃,Pt3Coでは80℃まで維持できた。これ以上の温度になると,第二成分の溶解とPtの再析出により,粒子表面は厚いPt層が形成され,ORR特性もPtのそれと同様となった。 以上の知見はPEFCカソード触媒の設計指針に非常に有用な情報となる。今後も引き続き,合金触媒の耐久性と活性向上の視点から最適な触媒条件を検討していく。
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