2007 Fiscal Year Annual Research Report
配向性アルミナの高温変形に及ぼす配向組織と粒界構造の影響
Project/Area Number |
19760497
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森田 孝治 National Institute for Materials Science, ナノセラミックスセンター, 主任研究員 (20354186)
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Keywords | アルミナ / 配向組織 / 粒界すべり / 高温変形 / 拡散クリープ |
Research Abstract |
本研究は、α-アルミナの高温可塑性の改善を目指した組織制御指針の構築を目的に実施した。具体的には、磁場中スリップキャスト法により、結晶粒のc軸が一定方向に強配向した組織を有する多結晶α-アルミナ(以後、配向アルミナ)を作製し、配向組織を持たないα-アルミナ(以後、無配向アルミナ)の高温可塑性と比較することにより、配向組織がα-アルミナの高温可塑性に与える影響を検討した。得られた結果を以下に示す。 1.配向アルミナのc軸に対して、0°、45°、90°方向に引張応力を負荷した場合、45°がそれ以外の2つの場合(0°と90°)に較べ最も速く変形することを見出した。 2.配向アルミナ(45°)と無配向アルミナの変形挙動を比較検討した結果、高応力域では無配向材に較べ配向材(45°)の変形速度が速いのに対し、低応力域ではこれとは逆に無配向材の方が配向材(45°)の変形速度より速いことが分った。さらにこの挙動(変形速度の逆転)は、初期粒径が大きくなる程、つまり配向組織の発達とともに顕著になる傾向を示した。 3.歪み速度と変形応力の相関より求められる応力指数(n値)は、配向材(45°)では変形応力に依存することなく、調査した全応力域でn〓2となるのに対し、無配向材では応力の低下にともないn〓2から〓1への遷移が認められた。このことは、配向材(45°)の変形は調査した全応力域で粒界すべりを支配的な変形モードとしているのに対し、無配向材は変形応力の低下にともない粒界すべりから拡散クリープに支配的な変形モードが遷移していることを示唆している 本研究の成果は、α-アルミナの高温可塑性に対し結晶粒の配向組織が強く影響を及ぼすことを初めて見出し、高温可塑性の改善を図る上でその組織制御が必要不可欠であることを実証したことである。
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