2008 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツスペクトル測定技術を適用した結晶多形制御プロセスの構築
Project/Area Number |
19760524
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
土岐 規仁 Iwate University, 工学部, 准教授 (50333753)
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Keywords | テラヘルツ / 化学工学 / 分子性固体 / 結晶工学 / 計測工学 |
Research Abstract |
本研究は、分子性結晶と溶液のテラヘルツ帯振動解析から、分子性結晶⇔分子集合体⇔溶液の分子挙動について動的に明確にし、新たな結晶多形制御プロセス指針の構築を目指した。生体内物質および医薬品には、分子構造が同一であっても、その積み重なりの違いで、物性が大きく変化する物質(結晶多形)があり、その生成は結晶成長時の環境に依存すると考えられ、その解明が、要望されている。そこで、結晶核は小さな分子集合体であり、その形成にはテラヘルツ帯に相当する弱い結合が重要な役割をはたしていると考え、結晶多形制御プロセスに、テラヘルツスペクトル測定技術を適用し、本研究を進めた。具体的には、高速測定が可能であるテラヘルツスペクトル測定を結晶と溶液内(未飽和-飽和-過飽和環境下)でそれぞれ調べ、結晶核の形成挙動を検討した。その結果、分子集合体の分子数と分子集合体総エネルギーに関しての新たな関係式を求めることが出来、核発生とパッキング形成挙動との関係を結びつけることが可能であることを提案した。さらに、分子軌道計算を行い、テラヘルツ領域の振動が結晶核の形成・大きさ・結合様式にどの程度反映するかを検証し、結晶核と結晶多形の関係をテラヘルツ領域の振動から定量的に示すことが出来た。また、これまでの手段では困難であったペプチドやタンパク質など柔分子構造の動きや、医薬品およびその結晶表面での吸着分子などの挙動を高速でとらえデータ収集をした。そして、生体バイオ分子の表面と内部構造との違いを、テラヘルツ領域の振動の違いから、明確に示すことが出来た。最終的に、溶液⇔分子集合体および分子集合体⇔結晶の形成挙動を実験および計算から統一的な見解を提案することが出来、新たなプロセス設計指針を構築することが出来た。
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Research Products
(13 results)