2007 Fiscal Year Annual Research Report
積層型誘電泳動電極による液中微小懸濁物の高効率分離装置の開発
Project/Area Number |
19760527
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
脇坂 嘉一 Osaka University, 先端科学イノベーションセンター, 特任助教 (60379138)
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Keywords | 不均一電界 / 誘電泳動 / 固液分離 / 細胞 / 誘電特性 |
Research Abstract |
従来の手法では大きさ形状等に差がないために分離できなかった液中微小懸濁物を誘電泳動によって分離する研究が行われているが、誘電泳動による分離は分離対象物の選択性が高い反面、既往の研究で主に用いられているチップ上の薄膜電極では分離処理能力が低く迅速に大量分離することが困難である。これを解決するため、本研究では分離の場となる誘電泳動電極を多数積層し大量分離が可能となる電極とそれを用いた分離装置の開発を行った。 効率よく大量分離可能な電極について検討するため、最適な電極形状に関して電界解析による検討を行った。その結果、積層する電極に使用する線径を細くすることで飛躍的に誘電泳動力が強くなるため、分離効率が上がることが示唆された。次に、電界解析結果を基に20層積層した積層型誘電泳動電極のプロトタイプを作製し、実験を行った。実験の前段階としで、酵母の生菌と死菌を分離することができる周波数に関して調べたところ、分離に最適な周波数は5MHzであることがわかった。分離実験には酵母の生菌と死菌が含まれた懸濁液を用いた。その結果、流量60m1/hの処理量でも両者を分離可能であるという結果を得ており、これは誘電泳動電極の処理能力としては最高レベルの性能である。現時点では選択分離性が既存の物と比べて劣っていること、カラム形状であるためある長時間処理を行うと捕集した酵母生菌が飽和し、分離ができなくなるという欠点がある。しかしながら、積層型誘電泳動電極というこれまでにはなかった新たな方式で処理量を向上させることが可能であることを示すことができた。これは従来の手法では分離のできない液中微小懸濁物を誘電泳動によって大量に分離できる可能性を示したもので、非常に意義のあることである。
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Research Products
(2 results)