2007 Fiscal Year Annual Research Report
劣質石炭資源から化学原料、有用物質を回収する新規フラクショネーション技術の開発
Project/Area Number |
19760544
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蘆田 隆一 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (80402965)
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Keywords | 石炭 / フラクショネーション / 溶剤抽出 / 化学原料 |
Research Abstract |
無極性溶剤を用いる高温溶剤抽出を利用した新規石炭フラクショネーション法を提案した。提案法は、350℃までの異なる温度において石炭を逐次的に抽出することによって、石油の精製のように石炭をより性状の均一な成分に分画する技術である。溶剤には無極性溶剤のテトラリンや1-メチルナフタレンを用い、まず150℃において溶剤を石炭層に流通させて抽出を実施した。この際抽出される成分は室温から150℃の間で抽出される成分として回収し、次に抽出残渣を200℃で抽出した。この操作を50℃ずつ温度を上昇させながら繰り返し、それぞれの温度域で抽出される成分を分離回収した。この方法を瀝青炭から褐炭までの異なるランクの石炭数種類に適用したところ、いずれの石炭においても石炭を分解することなく6〜8種類の成分に分離することに成功した。瀝青炭のような高品位炭ではどの石炭でも、分離された成分間で化学組成は大きく変わらなかったが、分子量が大きく異なった。すなわち、瀝青炭はユニット構造は類似であるが分子量の大きく異なる成分から構成されており、提案法はそのような瀝青炭を分解することなく分子量の異なる成分に分離するのに有効であることが示された。一方、褐炭から分離回収した成分の間では、分子量分布は大きく変わらないが、化学組成が大きく異なることが明らかとなった。得られた成分を炭素材料源などとして応用する際に重要となる熱軟化溶融挙動を調べたところ、抽出成分はすべて顕著な溶融性を示すとともに、瀝青炭から得られた成分では、高温で得られた成分ほどより高温で溶融することが明らかとなった。褐炭のような最も低品位な石炭から得られた成分であっても顕著な熱軟化溶融性を示したが、瀝青炭のように成分間で溶融温度に差異が見られなかったため、固体として抽出された成分をさらに室温で溶剤分別し、溶融挙動の異なる成分に分離することに成功した。
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