2008 Fiscal Year Annual Research Report
組換え抗体の超活性クラスター構造の解析と高効率調製プロセスの開発
Project/Area Number |
19760548
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 竜太郎 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (80323103)
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Keywords | 二重特異性抗体 / diabody / 多量体化 / クラスター構造 / EGFR / フローサイトメトリー / scFv / がん細胞傷害活性 |
Research Abstract |
申請者は、独自に開発した組換え抗体、二重特異性diabody(Ex3)の調製時に、微量だが、極めて強力ながん細胞殺傷能を有する多量体化した分子種が含まれることを、近年明らかにした。本研究は、より効果的な治療薬の設計に向けた、この構造体の高効率な誘導を目指して、1、クラスター構造の同定、2、均一なクラスター構造の形成を促す最適なリンカー配列の選択、3、クラスター化構造体の詳細機能解析と調製プロセスの実用性の検証、の観点から研究を進めている。本年度の研究成果は以下の通りである。 1、Ex3のクラスター構造の同定 : 前年度にクラスター構造が均一な四量体であることを明らかにしたEx3多量体に関して、標的抗原の1つであるEGFRを蛍光標識して、CD3陽性細胞に対するフローサイトメトリーを行うことで、クラスター化により2細胞間の架橋能も向上するということを明らかにした。 2、Ex3の均一な多量体分子の形成を促す最適なリンカー配列の選択 : 前年度に、抗EGFR一本鎖抗体(scFv)をモデルとして得た結果を基に、さらにEx3の配向性やリンカー配列の検討を行った結果、Ex3のクラスター分子の調製の他、Ex3そのものの活性を著しく向上させる分子の構築にも成功した。 3、 クラスター化構造体の詳細機能解析と調製プロセスの実用性の検証 : 得られたクラスター化Ex3の結合活性をフローサイトメトリーにより、がん細胞傷害活性をMTS assayにより、詳細な解析を行い、その有用性を示した。さらに、巻き戻し法を用いない調製プロセスの開発を目指して、発現ベクター、宿主、培養条件等をそれぞれ検討した結果、可溶性画分から従来の調製法と同等の活性を有するEx3の調製に成功した。また他の分子への適用も可能であったことからその実用性も示せたといえる。
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