2007 Fiscal Year Annual Research Report
ロケットエンジン噴射器流れにおける微粒化・燃焼統一解析モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
19760572
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 和弥 The University of Tokyo, インテリジェント・モデリング・ラボラトリー, 研究機関研究員 (80373447)
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Keywords | ロケットエンジン / 燃焼 / 数値解析 / 実在流体 / 非保存型スキーム / 水素 / 酸素 |
Research Abstract |
本研究は,ロケットエンジン燃焼の中でも,特に噴射器単体の燃焼現象を数値解析により詳細に把握することを目的に,将来的に亜臨界圧力燃焼・超臨界圧力燃焼の違いを区別することなく解析可能とすることを目指したものである.今年度の取り組みとして,セミラグランジュ形式に基づいた気液二相流解析手法を応用することで,超臨界圧力条件下での水素・酸素燃焼流れ解析を可能とするべく,実在流体効果・8化学種19反応を考慮した燃焼反応モデルを組み込み可能な解析手法の確立に取り組んだ.高温水素流れ中に置かれた低温酸素液滴の混合・蒸発に関する解析においては,酸素液滴の変形およびそのときの流線の様子から,水素の流速が大きいときには酸素液滴の変形も激しく,また液滴背後に大きな剥離領域が見られる一方で,水素の流速が低い場合には,計算初期に現れる剥離領域は消滅し,液滴の変形についても特に流れと垂直方向への伸び方に大きな差が見られることを確認した.噴射器流れに関するテスト解析からは,特徴的な渦構造や再循環領域などを再現する結果が得られている.これらは,過去に保存型のスキームを用いた解析によっても試みられておりそれと同様の結果を示している.このことから非保存型の本解析モデルでも混合や反応に関する解析が保存型の手法と遜色なく可能であることが示された.非保存型の手法は,状態方程式の組み込み,圧縮性・非圧縮性統一解析,界面張力の扱いなどに多くの利点を持ち,今後の亜臨界圧条件における燃焼流れ解析に繋がる知見を得ることができた.一方で,本年度は混合気体の熱物性値の扱いが若干厳密性に欠けており今後の課題として残っているが,混合気体用として提案されている状態方程式を用いることで解決可能と考えている.
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