2008 Fiscal Year Annual Research Report
ロケットエンジン噴射器流れにおける微粒化・燃焼統一解析モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
19760572
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 和弥 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (80373447)
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Keywords | ロケットエンジン / 燃焼 / 水素 / 酸素 / 数値解析 / 微粒化 |
Research Abstract |
ロケットエンジンで想定されるような高圧条件下における水素酸素燃焼流解析について, 液体酸素の蒸発を考慮可能な数値解析モデル開発を目的とした研究として, 本年度は特に燃焼反応機構および反応過程の数値解析法に関連した項目について検討した. 水素酸素詳細反応機構は古くから研究されており, 反応機構の中でも最も詳しく理解されているものであるが, それでもなお, 全ての条件に適用可能なモデルが存在するわけではない. 特にロケットエンジンで想定されるような200気圧程度までの高圧条件に対して適用するためには, 改良すべき点が多く残されている. 特に高圧条件下での適用に問題があると思われる, 1. 三体効果を伴う素反応の圧力依存, 2. 複数の反応経路が考えられる素反応, 3. 特殊な温度依存を示す素反応, について検討した. また, 化学反応を伴う流れを数値的に解こうとした場合, 非常にスティッフな系となることから生成項の時間積分法が問題となることが多い. これまでは主に流れ場の時間スケールと反応の時間スケールとが大きく異なるという観点で議論されることが多かったが, 反応過程のみでもその時間スケールは温度・圧力などの条件により数桁も異なり, この傾向は生成速度が大きくなる高圧条件下ほど顕著となる. この問題を解決するための簡易的な手法として, 流体・反応の時間積分を分離し部分段階法的に時間積分することを前提に, 反応項の時間積分法として, 異なる時間精度を有する手法を併用し, 各ステップで局所誤差を評価することでそのステップ毎の時間積分安定性を判断し, 時間刻み幅を可変とすることで効率的な時間積分を行う手法を提案した. その際,多変数の連立微分方程式系では局所誤差を判定する際に一般的には全変数を何らかの形で対象とする必要があるが, 水素酸素反応の進行過程の特徴を考慮することでHO2化学種にのみ着目すれば十分であることを示した.
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