Research Abstract |
本年度の研究実施計画の目標は,1.東アジア縁海における各種データ収集と整理,2.マルチスケール大気・海洋モデルの構築,3.国産海産物の物流経路の調査や社会モデルに関する情報収集であった。1.については,まず,各種人工衛星データ解析ソフトウエアの比較検討を行い,投資対機能と操作性の観点からENVIを採用し購入した.つぎに,各種衛星データの利用可能性を検討し,とくにLandsatとALOS,MODIS,Asterについては,本研究課題が対象とする領域において,海岸地形や水温分布,土地利用区分,植生分布,河川水動態などの解析に対して利用可能性が高いことを把握した.さらに,これらの衛星データと現地の土地利用状況の間でキャリブレーションを行いモデル化するために必要となるGISデータの収集を行い,Geoinfo.chinaや地質調査総合センターの成果物を購入し,データ品質の確認を行った.これらのデータを使用することで,今後,人工衛星データより東アジアにおける最新の土地利用情況やそれによる環境負荷を定量化できるよう研究を進める予定である.また,海域における現地観測データの収集を行い,MIRC Ocean Dataset 2005や気象庁の海況解析データの収集を行い,その利用環境の整備を行った.データ購入により,高価であるが,高品質なデータを利用しつつ研究を進める基盤を整えることが出来た.2.については,現有の準三次元海洋モデルにドライ・ウェット機構を付加するとともに,SS動態の高精度化について,いくつかの検討を行った.さらに,これに関して「海の公園」をテストケースとし,沿岸域における人間活動による生態系への影響評価に関する研究を行った.3.については,物流経路のモデル化のためにシステムダイナミクスの専用ソフトウエアStellaを購入し,メドウズのWorld Modelを例にその操作方法とモデル化手法について取得した.今後は社会モデルの東アジア域への拡張と物流による広域栄養塩循環の実態解明とその応答モデルの構築を行う.
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