Research Abstract |
本年度は実施計画のなかでも, 数値モデル拡張とその現象への適用, 評価に注力した. 具体的には現有の流動モデルに, 干潟における干出・冠水を表現できる仕組みを導入, 多粒径・再懸濁を伴うSS挙動の物理モデルの構築と導入, 現有の生態系モデルの精査, 波浪モデル(SWAN)の統合, ラグランジェ粒子追跡モデルの精査である. 大気モデルとの統合については, 公表されている客観解析による気象データの予測精度が, パブリックドメインの大気モデルを使用した計算結果より高精度であることを確認したため, 統合はしない方針とした. 成果としては, この本年度において拡張した数値モデルを用い, 渤海における黄河からの濁水挙動と, 東京湾におけるアサリ浮遊幼生漂流の数値シミュレーションを行い, これを国際会議で発表した. とくに前者は国際会議のテーマ合致しており, 発表後に地元の中国人のみならず, 韓国, スペイン, インドなどの専門家との有意義なディスカッションを行い, 考察を深めることができた. 後者は, 浮遊幼生の着底条件について技術的課題があり, とれについて発表後に数名の研究者と意見交換をした. また, 汚濁機構と環境改善技術の数値モデル高度化を目的とした現地実験を尼崎運河で行い, とくに曝気による効果について論文発表を行った. さらに, 干潟生態系への人為的な影響のマルチエージェントモデルを用いた予測モデル構築に関する成果を取りまとめ, 論文発表した. その他の課題については, 人工衛星データ利用については, Landsat, MODISのデータにおいて, フリーのものを収集した. 想定以上にコンポジット処理に時間を要しており, 解析を継続中である. 物流経路のモデル化については, 中国の水産データの収集を進め. システムダイナミクスソフトウエアによるモデル化の準備は, ワールドモデルを例として, その利用可能性の検討を進めた.
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